グルメ

不気味な見た目とは裏腹に意外と美味!?
高知でも味わえるウツボってどんな魚?

不気味な見た目とは裏腹に意外と美味!?高知でも味わえるウツボってどんな魚?

突然ですが、皆さんはこちらの生物の名前をご存知ですか?

ウツボ

正解は「ウツボ」という魚です。
魚の名前に詳しくないという人でも、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

不気味な見た目と奇妙な網目模様のカラーリングのために、爬虫類や両生類が苦手な人は、思わず目を覆いたくなってしまうかもしれません。しかし、実は食用にも用いられている魚で、特に高知県では昔からウツボ料理が名物料理として親しまれています。

ではウツボとは、一体どのような魚で、どんな料理にして食されているのでしょうか。
その生態や習性、料理法について解説していきます。

名前の由来と生態

名前の由来と生態

ウツボとは、ウナギ目ウナギ亜目ウツボ科に分類される魚類の総称。英語では「Moray」や「Moray eel」と呼ばれ、世界中に約200種類が存在します。

和名である「ウツボ」という名前の由来には、体の形状が矢を入れる容器の「靭(うつぼ)」に似ているからという説や、岩穴に潜む習性があることから、空洞を意味する古語の「うつほ」が変化して名付けられたとする説など、諸説あります。

ちなみに一般的に知られるウツボという名前のほかにも、鹿児島県では「キダカ」、三重県の志摩地方や東京都の神津島では「ウナギ」と呼ばれるなど、地方によっては、異なる呼び名で親しまれているようです。

体の全長は、20cmと小さなものから4mを超えるものまで、種類によってさまざまですが、1m前後が平均的です。

体型は頭から尻尾に向かって細長い円筒形で、体色は生息環境に合わせた地味な保護色をしているものが多く見られますが、生息地域によっては鮮やかな体色や派手な模様をもった種類もいます。

大きな口の中には、鋭い歯がびっしりと生えており、強靭な顎も併せ持ちます。肉食であり、大好物のタコをはじめ、あらゆる魚や甲殻類を捕食します。またサメや、捕獲しようとする人間などの外敵が近づくと口を大きく開けて威嚇するため、「海のギャング」という異名がありますが、本来は穏やかな性格であるため、身の危険を感じなければ攻撃を仕掛けることは、あまりありません。

ウツボはどこにいる?

ウツボはどこにいる?

ウツボが生息するのは、主に熱帯や温帯といった温かい地域の浅海です。

日本では、島根県や九州までの日本海や千葉県の房総半島から九州までの太平洋に生息しているほか、特に南西諸島では数多くの種類が確認できます。

多くの種類が獲物を狙って、普段はサンゴ礁や岩礁に隠れるように生息していますが、種類によっては海水と淡水が混ざる汽水域や淡水域にまで近づきます。

また体が湿っている限り、皮膚呼吸によって30分ほど陸地でも呼吸ができるため、時には浅瀬にいる釣り人が釣り上げた魚や、用意している餌を狙って襲いかかることもあるようです。

ウツボには毒がある?

ウツボには毒がある?

グロテスクな見た目から毒を持っていると思われがちですが、ウツボの多くは毒を持っていませんが、例外として「ドクウツボ」には注意が必要。

その名の通り「シガテラ毒」という猛毒を持ったウツボで、主にインド洋や太平洋、日本では南西諸島を中心に生息しています。

ドクウツボのシガテラ毒は、海中に生息する毒素をもったプランクトンを食した魚介類を捕食することによって発生します。

噛まれることによって、毒素が注入されることはありませんが、ドクウツボを調理して食すことにより、体内に毒素が回り、下痢や嘔吐といった食中毒や、体の麻痺や感覚異常といった症状を引き起こすおそれがあります。

ウツボの料理法

ウツボの料理法

さて、ウツボの生態がわかったところで、ここからはウツボの料理法について解説していきましょう。

ウツボの身は、そのグロテスクな見た目からは想像できないほどの上品な白身で、ほどよい脂も含まれた、ほんのりと甘みのある味わいです。皮は分厚く、骨は強く小骨も多いため下処理に手間がかかりますが、地域によって様々に工夫された料理法により食されています。

・ たたき

高知県では、たたきといえば「カツオのたたき」が有名ですが、実はカツオと同じくらいウツボのたたきも昔から親しまれている郷土料理。
強火で皮ごと炙ったウツボをサッと冷やしてから骨を抜き、ポン酢でさっぱりと味わうのがおなじみの食べ方です。ゼラチン質の皮も食感がよく、ほどよい甘みが口の中で広がります

・ 唐揚げ

三昧に下ろしてサクッと香ばしく揚げられた唐揚げ。身の甘みはもちろん、少々ねっとりとした皮の食感がやみつきになりますお酒のおつまみとしても人気の料理です。

・ 煮付け

煮付けは、ウツボの定番料理のひとつ。小骨が多く皮もねっとりとしているため、煮付けには適していなさそうですが、小骨を抜いて皮のぬめりを湯通しして洗い流すなど、丹念に下処理をすれば、ホクホクとした白身の旨さが際立つ煮付けが完成します。

・ 湯引き

ウツボのもっともシンプルな料理法として知られているのが湯引きです。ウツボを三枚に下ろして薄く切り、熱湯にくぐらせて冷水に浸せば出来上がり。味付けはポン酢や酢味噌が定番です。

普段はあまりお目にかかることのできない魚であるウツボ。見た目は少々不気味で親しみやすさこそありませんが、性格は穏やかなので、コチラが敵意をみせたり、エサを所持していないかぎりは襲いかかってくることもありません。
そしてなんといっても、その奇妙なビジュアルとは裏腹な上品な味わい。居酒屋を中心に、高知県内にあるあちこちの飲食店でも気軽にウツボ料理を味わえるので、ぜひいちどチャレンジしてみてください。